チーム最年少、15歳の天才少女が世界にデビューする。体操の世界選手権(10月、中国)女子代表が6日、都内で合宿を公開。初代表の平岩優奈(15=三菱養和スクール)が、12年ロンドン五輪代表の田中理恵さんも絶賛する美しい体操で、日本の秘密兵器となる。16年リオデジャネイロ、20年東京五輪を見据えた将来の日本のエースが、世界に羽ばたく。

 理恵さんの後継者が頭角を現してきた。美しさで勝負してきた田中さんが「今の日本女子で、最もきれいな体操をする」と驚いた逸材が平岩だ。この日は、骨盤が「疲労骨折の1歩手前」という事情もあり、抑えめの練習。それでも長い手足ときれいな体線で、ひときわ目を引いた。

 5月の全日本で年上の選手を押しのけ、個人総合3位に食い込んだ。しかし、6月のNHK杯は13位に終わり、個人総合では代表入りを逃した。「どうしても世界戦に出たい」。その思いを7月の全日本種目別にぶつけ、得意の平均台で1位。代表の座をつかんだ。

 12年ロンドン五輪はテレビで観戦した。田中さんの床の演技を見て「表現力がすごい。あそこで演技してみたい」。その年、全日本ジュニア43位ながら、推薦でナショナルチームの合宿に呼ばれた。「トップの選手と練習して、世界を目指したいと思った」。

 女子の小林監督も「東京五輪では、日本のエースとして引っ張る逸材。しなやかな演技。減点されにくい」と絶賛だ。好物は「パンの耳」。趣味は「寝ることと友達の家に遊びに行くこと」と、まだまだあどけない。

 世界選手権では、得意の平均台での起用が濃厚だ。「チームに迷惑がかからないように頑張りたい」。リオ、東京五輪では、全4種目をこなす個人総合での勝負を狙う。田中さんが10年世界選手権で受賞した世界一美しい演技に与えられる「ミス・エレガンス」を受け継ぐ能力を秘めている。【吉松忠弘】

 ◆平岩優奈(ひらいわ・ゆうな)1998年(平10)11月21日、東京生まれ。5歳の時、大泉スワロークラブで体操を始める。大泉学園中1年の11年東日本ジュニア個人総合優勝。13年全日本ジュニアで最も美しい体操をする「エレガンス賞」に選ばれた。東京・成立学園高1年。家族は両親と弟。148センチ、41キロ。

 ◆第45回世界体操選手権

 10月3日から12日まで、中国・南寧で行われる。男女の団体総合、個人総合、種目別が競われる。団体総合は、男女ともに予選は6人登録し、5人が演技、そのうち4人の得点合計で争う。上位8カ国が決勝に進み、6選手の登録で3人が演技し、その3人の得点合計で順位が決まる。個人総合は、各国上位2人が決勝に進む。