念願の初優勝を目指すヤマハ発動機が「声」も武器にしてシーズンに入る。ラグビーのトップリーグ(TL)は22日に開幕。今日23日が初陣となる昨季5位のヤマハ発動機はホームの磐田・ヤマハスタジアムで豊田自動織機と対戦(午後6時)する。就任4年目の清宮克幸監督(47)が徹底してきたヤマハ最大の武器となるセットプレーは、肉体改造に加え、連係面での声出しがプラスされて深みを増した。より進化したチームが4強によるプレーオフ進出、そして初の日本一を目指す。

 自然と声が弾んだ。慣れ親しんだホームでの初陣。三村勇飛丸主将(25)は「今までにないほど、いい仕上がりで開幕に臨める。うれしいことにホームでの開幕戦。地元の方々に自分たちがやってきたことを見せたい」と自信の笑み。それはヤマハスタイルの進化を証明する表情だった。

 得意のセットプレーは肉体改造を続けることで強さを増した。体の強さに加え、清宮監督は「声」を求めた。「自分がやるべきことと、他人がやることの両方に関心を持て」と選手たちに指示を出した。例えば、横にいる選手がやるべきことをやっていないことに気づいても、昨季は指摘するシーンが少なかったという。同監督は「声で動きが変わる」と冷静にチームを分析している。

 指揮官の求める「声」は既に選手間に浸透しつつある。三村主将は「声を出そうとすると、聞く意識も自然と生まれる。またやるべきことがチームで明確になる」としながら「まだ足りないので、シーズン中も成長できると思う」と、発展途上であることも強調。シーズン中も進化を続け、熟成されそうな予感が漂う。

 初戦の相手、豊田自動織機とは昨季のワイルドカードで対戦し、46-0と勝った。しかし今年6月、元日本代表フランカーのバツベイ・シオネ(31)ら補強を敢行した今季の新チームに練習試合で敗れた。三村は「守りから必死に戦うチーム。余裕を持つとかはなく、しっかり勝つことが大事」と緊張感も忘れずに初戦を待ちかまえる。

 ヤマハは昨季の第1ステージで躍進した。リーグ戦では06年以来となるトップ4の一角となる東芝を撃破するなど、2位で折り返した。第2ステージは終盤に失速して5位。あと1歩でプレーオフ進出を逃した。

 三村主将

 以前はトップ4との差を感じて終えるシーズンだったが、昨年は「やることやればできるんだ」という自信を得た。今年はヤマハ対策をしてくることもあるだろうが、それでも止められないと思う。

 日本一をつかむため、ヤマハ発動機は止まるつもりはない。【大野祥一】