<競泳:パンパシフィック選手権>◇第4日◇24日◇オーストラリア・ゴールドコースト

 日本の新エース萩野公介(20=東洋大)が、世界のマイケル・フェルプス(29=米国)に競り勝った。萩野は男子200メートル個人メドレー決勝で五輪3連覇中のフェルプスと対決。最終種目の自由形で急追を受けたが、0秒02差逃げ切り金メダルを獲得した。

 怪物フェルプスが迫っても、萩野は冷静だった。150メートルの折り返しは体半分以上リードしていたが、ラスト5メートルで並ばれた。「焦らず、しっかり(水を)かこうと思った」。タッチもピタリとあって、0秒02差の先着。「きのう納得いかないレースだったので、勝ったことは大きい」。400メートルに続く個人メドレー2冠を笑顔で振り返った。

 個人5種目、リレーを入れると6種目を泳いだ最後のレース。屋外プールの厳しい条件で、タイムは伸びなかった。「自己ベストを狙っていたので、そこは悔しい」。それでも、かつて憧れたフェルプスの隣で泳ぎ、そして勝った。「なかなか日本じゃ味わえない。楽しかった」と話した。

 6年前の北京五輪、次々と金メダルを獲得するフェルプスを見て「自分もああなりたい」と思った。初めて対戦した4年前の前回大会では、朝食もとれないほど緊張した。2年前のロンドン五輪400メートル個人メドレーでの対戦では勝って銅メダル。直後にフェルプスが引退した。今春の復帰報道が、萩野の闘志に火を付けた。「またフェルプスと泳げる」。ゴール前の競り合いがうれしかった。

 この日、世界記録を持つロクテ(米国)は決勝進出を逃した。しかし、B決勝では萩野の優勝タイムと同じ1分56秒02。実力を示した。「今度はロクテ、フェルプスと一緒に泳いで、いいレースをしたい」。2年後のリオデジャネイロ五輪に向けて、憧れの存在は倒さなければいけないライバルへと変わった。