<柔道:世界選手権>◇第3日◇27日◇ロシア・チェリャビンスク◇男子73キロ級

 男子73キロ級ロンドン五輪銀メダリストの中矢力(25=ALSOK)は、3年ぶりの世界一。前回3回戦敗退の屈辱を晴らした。

 中矢が王座に返り咲いた。北朝鮮のホン・ククヒョンに小内巻き込みで一本勝ち。「久しぶりに世界の頂点に立ててうれしい。大野が負けたので、世界一をとらないといけないと思って頑張った」。過去3回優勝している日本の牙城を守り、笑顔で話した。

 昨年は悪夢だった。準々決勝で負けて頭を打ち、救急車で運ばれた。試合途中から意識もなかった。「あの日のことは絶対に忘れない」。大野の優勝を見たのは病院のベッドの上。「正直、悔しかったし、情けなかった」。以来、常に大野を意識して練習してきた。

 6月には首の神経を燃やす手術を受けた。学生時代からの首痛、肩痛の原因を取り除き、雪辱への準備はできていた。「世界選手権の悔しさは世界選手権で、五輪の悔しさは五輪でしか晴らせない」と井上監督。中矢も「最終的には(銀メダルで)悔しい思いをした五輪の悔しさをリオで晴らしたい」と言い切った。