<柔道:全日本ジュニア体重別選手権>◇最終日◇14日◇埼玉県武道館

 父超えVだ!

 男子100キロ超級で、小川雄勢(18=東京・修徳高3年)が初優勝を飾った。巨体を生かした柔道で、同年代の大学生らを突破すると、決勝も尾原琢仁(19=筑波大2年)を2分45秒、横四方固めの一本で下して頂点に立った。92年バルセロナ五輪銀メダルで全日本選手権7回優勝の父直也氏(46)が明大時代の86年、第18回大会でマークした3位を上回る好成績。これで来月22日に開幕する世界ジュニア選手権(米マイアミ)の代表選出も確実となった。

 大舞台で強かった。観客全員が注目する男子最重量級の決勝。小川は自身よりも3センチ身長の高い尾原からパワーを生かして主導権を奪った。試合終了まで2分を切ろうとした時、支え釣り込み足で相手を青畳に倒した。1度は出た有効を取り消されたが、即座に横四方固めへ移行。2分45秒、鮮やかな一本勝ちで会場をわかせると「(優勝)できるとは思っていなかった」と照れ笑いを浮かべた。

 今年3月の高校選手権で無差別級と団体を制し、7月の金鷲旗も優勝して勢いづいたが、8月の全国高校総体で失速した。団体戦は準V、そして優勝候補だった100キロ超級は3回戦敗退。父直也氏の勧めで、10日間の完全オフを取って心身を休めた。「家で寝ていたようなオフ」(小川)で、体重は過去最重量の137キロまでアップ。「疲れは相当あった。けいこを再開してから2~3週間ですが、休んだから良かったのかも」と肉体回復に効果があったようだ。

 初戦の2回戦から決勝まで4試合中3試合が大学生との戦いだった。年上に胸を借りる意識で重圧も少なく「やりやすかったです」と涼しい顔。自らのジュニア成績を超えられた直也氏は「高校生で全日本ジュニアを取るとは。粗削りだけど伸びしろはある」と驚きを隠せなかった。

 全日本ジュニア覇者となり、来月の世界ジュニア選手権の代表入りは確実となった。小川は「外国人とやったことがない。1度、戦ってみたい」と意欲的。ついに小川ジュニアが世界に羽ばたく時が来た。【藤中栄二】

 ◆小川雄勢(おがわ・ゆうせい)1996年(平8)7月20日、神奈川県生まれ。幼少の頃はクラシックバレエも習い、バランス感覚と柔軟性を養った。小学4年から柔道をはじめ、東京・修徳高では今年3月の高校選手権では男子無差別級、団体戦の2冠を奪取。7月の金鷲旗も団体で優勝した。190センチ、137キロ。