日本水泳連盟は7日、都内で倫理委員会と常務理事会を開き、仁川アジア大会水泳会場でカメラを盗んで略式起訴された競泳男子の冨田尚弥(25=チームアリーナ)について、16年3月31日までの選手登録停止とする処分案を決めた。反省文の提出と一定期間の社会貢献活動を行うことも含め、30日の臨時理事会で正式決定する。

 会見では、鈴木大地会長(47)が「道徳、倫理指導をしてきたが、全ての選手に伝わっていなかった。本当に申し訳ありませんでした」と深く頭を下げた。委員会では永久停止処分を科すことも検討。過去、84年ロサンゼルス五輪で大麻を使用した競泳代表を含む5選手に下されたことがある(88年に処分解除)最も重い処分だが、今回は見送られた。

 理由として、泉正文専務理事は「被害者から選手生命を奪う処分をしないでほしいとお願いされた」ことを挙げた。約83万円相当のカメラを盗まれた韓国メディアの被害者は、それを条件に示談に応じたという。そのため、16年リオデジャネイロ五輪の選考会を兼ねた同年4月の日本選手権前に処分が解ける期間とした。国内外で大会には出場できないが、練習はできる。

 また、日本水連役員らに対しては、泉専務理事と上野広治常務理事、競泳日本代表の平井伯昌監督を管理、監督が不十分だったとしてけん責処分。さらに、日本連盟でコンプライアンス推進委員会の立ち上げを視野に入れた特別プロジェクトチームを設置し、再発防止のために教育啓発セミナーなどを実施することもまとめた。