仁川アジア大会水泳会場でカメラを盗んで略式起訴された競泳男子の冨田尚弥(25)が無実を訴える件で10月31日、韓国・仁川南部警察刑事課の組織犯罪捜査チーム長が日刊スポーツの取材に応じ「相手にする気にもならない」と捜査への自信を示した。揺るぎない証拠がある。現場の水泳会場には40台以上の防犯カメラが設置されていた。チーム長は「その中の2、3個のカメラに、取った瞬間の映像が写っていた」と話す。捜査室では冨田本人も映像を確認し「僕で間違いありません。すみませんでした」と認めたという。同警察は、その場面も映像に残している。

 盗んだカメラは選手村で発見された。そのときも「僕が取りました」と素直に謝罪し、同警察に連行されたという。チーム長は「捜査が終わった後、『これから頑張って復帰してください』と声を掛けたら『ありがとうございます』と言った。いまさらやっていないというのは日本での立場があるからなのか。あきれて笑うしかない」と信じられない様子だった。

 一方、冨田を担当する1人の鈴木亮弁護士は潔白を主張する。防犯カメラの映像については「本人からはカメラの方向に歩く姿は写っていたが、直接カバンに入れるなど、盗んだ映像はないと聞いています」と話す。また冨田は、第三者がカバンに無理やりカメラを入れたとも話し、その男はアジア系で迷彩服のような緑色のズボンをはいていたという。冨田は6日に名古屋市内で弁明会見を開く。