錦織に続け!

 男子テニスで、今年の全米ジュニアダブルス優勝の中川直樹(18=IMG)が21日、都内で会見を開き、プロを宣言した。錦織同様に、盛田正明テニス基金(MMTF)で米国に留学。拠点も同じIMGアカデミーという、まったく錦織と同じ道を歩む。日本男子テニス界期待の新星が、来年1月1日からプロとして世界に飛躍する。

 この日のため、わざわざ拠点とする米フロリダから前日に帰国した。横には、錦織のマネジャーである本国の敏腕代理人が片時も離れない。IMGが錦織に次いで期待する中川の才能の高さを証明していた。「すごくエキサイトしている。目標は世界NO・1」だ。

 ひょうひょうとしたマイペースは、錦織そっくり。言葉数も多くなく、得意なショットはフォアハンドと、これも錦織と同じで、弟分の資格は十分だ。「(錦織の)活躍は刺激になる。同じ日本人で、大舞台に立って、自分もできると自信になる」。

 錦織と大きく違うのは、身長だ。18歳にして、すでに錦織の現在の178センチを2センチ上回り、180センチの大台に乗った。さすがに伸びは「止まったかも」。ただ、体重が65キロと、少しヒョロッとしているのが心もとない。本人も気にしているのか「たくさん食べているんですけど」とつぶやく。

 ただ、錦織も、ジュニア時代は細かった。もともと食は細い方で、それが今は、78キロのがっしり系。中川も、「この先、トレーニングを積めば、体は大きくなる」(代理人)。プレーは、やはり展開の速い攻撃型なので、これにパワーが加われば鬼に金棒だ。

 MMTFの盛田会長も、その才能に太鼓判を押す。「錦織に追いつき追い越すのも夢ではない」。体が柔らかく、腕をムチのように使えるのは、教えてもできない才能だ。錦織が、手首を使うスイングスピードが速かったのと同様に、その柔らかさに、盛田会長も、IMGも目を付けた。

 MMTFは、9月から翌年5月を1期とし、その間に、実力に見合った高い目標を選手に課す。それをクリアできないと、即刻、日本に帰国となる。これを最初にすべてクリアし、卒業したのが錦織。次が、9月のアジア大会で金メダルを取った西岡良仁で、中川は3人目で、まさに“錦織3世”の誕生だ。【吉松忠弘】