<柔道:グランドスラム東京2014>◇最終日◇7日◇東京体育館

 日本の男子重量級勢が惨敗を喫した。課題とされた100キロ級は4選手が早々と敗退して表彰台にすら上がれず。五輪代表争いどころか、出場権すら危ぶまれる状況になった。100キロ超級もエース七戸龍(26=九州電力)がメダルにすら届かず、90キロ級も西山大希(24)の銀メダルが最高。井上康生監督(38)も、ふがいない成績に表情を曇らせた。

 井上監督が声を振り絞るように言った。「非常に残念。惨敗です」。前日までの軽、中量級は、日本勢で沸いた決勝戦。出場選手枠4という開催国のアドバンテージ(通常は2)を生かして、上位を占めてきた。しかし、この日は90キロ級の西山だけ。最終日のスタンドは白けムードだった。

 最も悲惨だったのは100キロ級。今夏の世界選手権で史上初めて派遣を見送るカンフル剤も効かず、4選手とも3回戦までで敗退した。期待される羽賀が「情けない」と言えば、後藤は「びびりすぎた」。昨年に続いてメダル0だった。

 今回は、五輪出場資格に直結する国際柔道連盟(IJF)ポイントの対象。ホームで行われる「ボーナスステージ」で大量得点を逃したのは痛い。重量級担当の鈴木コーチは「五輪出場権さえ危ない」と話す。これまでは複数選手を各大会に派遣して多くの選手に出場資格を取らせていた日本だが、方針変更の必要もある。ただ、それにするにも核となる選手はいない。

 世界選手権派遣見送りの影響を問われた鈴木コーチは「(五輪まで)1年半待ってほしい」と頭を抱えた。「100キロ級(の代表争い)も、今大会出場選手が中心となる」と井上監督は話したが、今後も不調が続くなら出たくても出られない可能性すらある。【荻島弘一】