女子にもメス-。国際バスケットボール連盟(FIBA)のパトリック・バウマン事務総長(47)が16日に来日した。来日の目的は、無期限の国際試合禁止処分を科した日本協会の問題の解決。都内のホテルにチェックインすると、そのまま関係者らの事情聴取を開始した。日本協会のガバナンス(組織統治)として男子トップリーグの統一に焦点が当たる中、バウマン事務総長は、女子のリーグや日本代表の問題にも言及した。

 FIBAのバウマン事務総長の宿泊する都内ホテルには、ものものしい空気が漂った。日本協会の梅野哲雄副会長をはじめ、宮地弘孝評議員らが、次々に事情聴取される。バウマン事務総長の改革への意欲が伝わる中、女子のシャンソン化粧品の杉山明宏部長も呼ばれた。

 日本協会の一連の問題として、併存する男子トップリーグの統一が注目されてきた。6年前からFIBAに警告を受けながら改善できない。日本協会のガバナンスが問われる事態になった。だが、問題は男子だけではない。女子にも課題はある。そこをバウマン事務総長は把握していた。

 WJBL(女子日本リーグ機構)では、過去に国籍問題でトラブルが起きている。中国出身でシャンソン化粧品の杉山美由希は国際移籍ルールに抵触したとして、12年度の選手登録を取り消された。一方でトヨタは1チーム1人の国籍変更選手の規則に違反していた。関係者によると、バウマン事務総長は「ルールは公平、中立でなければならない」と指摘したという。

 日本代表の女子強化部長は、JXの高橋雅弘部長が務める。一チームの部長が強化のトップで、選手選考に不満を漏らす声は少なくなかった。FIBAによる無制限の国際試合禁止処分の通告文書には改革すべき問題として<1>ガバナンス<2>男子トップリーグの統合とともに<3>男女代表チームの強化体制の構築が挙げられている。バウマン事務総長は「代表は公正な選考委員会を開いて決めるべきだ」と続けたという。

 FIBAは日本協会の運営を指導するタスクフォース(特別チーム)を立ち上げる予定。バウマン事務総長は今日17日、JOCの竹田恒和会長、文科省の下村博文大臣と会談。前代未聞の「黒船来襲」によるバウマン改革は、男女問わずに断行される。【田口潤】