全国高校バスケットボール選抜優勝大会(日刊スポーツ新聞社主催)は来週23日、東京体育館で開幕する。2年連続出場となる昨年4強の男子の藤枝明誠は、24日の初戦で尽誠学園(香川)と対戦。ガード阿部駿太(3年)は、50メートル6秒0という俊足を生かしたゲームメークが売り。自ら1試合15得点をノルマに掲げ、エース角野亮伍(3年)らタレントのそろう味方に好パスを出し、爆発力あるオフェンスを演出する意欲を示した。

 頼もしい司令塔だ。「スポーツなら何でも得意」とという高い身体能力を持つ阿部。魅力はスピードにある。50メートル走は6秒フラット。チームで1、2位を争う俊足が藤枝明誠のオフェンスを支える。阿部は「うちの攻撃は爆発力がある。良い守備から良い速攻ができるはず」と自信を深めている。

 攻撃に転じた阿部は常にトップスピードで敵ゴール付近まで到達する。フリーならば自ら得点を狙う。敵マークが多ければ、角野や宮越康槙(3年)という得点力のある味方に好パスを繰り出す。先月9日の県決勝(沼津中央戦)では角野(40得点)、宮越(17得点)に次ぐチーム3位の14得点を挙げた。現在も「シュート嫌い」と言うものの、2年からシュートフォーム改造に着手。角野の助言も参考に改良を重ねており「全国では1試合15得点がノルマ」との目標を掲げた。

 1年前、阿部はレギュラー5人から外れた。ガードは1学年上の先輩、蒲沢琢己だった。阿部は「出場機会がなく、試合感覚がなまった」と悔しそうに当時を振り返る。三上淳監督(51)にも「(阿部は)この1年ですごく伸びた選手。パスの視野が広い。ゲームも作れるようになった」と、信頼を置かれる。

 今年の全国総体では、3回戦で敗退。阿部らが主力となった長崎国体も初戦で敗れた。代わりに福岡大大濠が総体V、福岡県代表の中心として国体も制した。順当に勝ち上がれば藤枝明誠は準決勝で福岡大大濠と激突する。「大濠の3冠は止めたい。優勝という良い形で高校を終えたい」と阿部。集大成の日本一へ、一気に駆け上がるつもりだ。【藤中栄二】