<レスリング:全日本選手権>◇第2日◇22日◇東京・代々木第2体育館

 女子48キロ級世界女王の登坂絵莉(21=至学館大)が、16年リオデジャネイロ五輪に大きく前進した。「絶対女王」吉田沙保里を目指す登坂は、満身創痍(そうい)で満足な練習もできない中での3連覇。リオ五輪予選となる来年9月の世界選手権(米ラスベガス)へ自信を深めた。同69キロ級世界2位の土性沙羅(20)は4年連続の優勝、男子97キロ級は負傷から1年ぶりに復帰した山口剛(25)が3年連続で制した。

 残り30秒、登坂の投げが決まった。拮抗(きっこう)した試合を決定づける一発。同じ富山・高岡市出身の宮原(東洋大)を6-2で下し「接戦になると思っていたけれど勝ててよかった」と話した。

 体はボロボロだった。5月に右足親指の付け根を痛めた。世界選手権、アジア大会で優勝したが、症状は悪化。その後も次々とケガに襲われた。左ひじに左ひざ、腰…、12月初旬には右足のすねを痛めた。「練習を始めたのは12月8日、それでも走ることはできなかった」。部の主将として先頭で練習できないことにも悩んだが、救いとなったのは吉田の一言。「周囲を気にせず、勝つことだけに集中した方がいい」だった。

 1次選考会で優勝し「リオに少し近づけたかな」と話した。世界選手権2連覇の実績と合わせ、来年の世界選手権出場は当確。そこで3連覇すれば、リオも当確となる。12年世界選手権決勝で敗れて以来、国内外無敗の登坂は「沙保里さんと一緒に金メダルがとれるように、気を抜かずにやっていく」と言い切った。