<高校ラグビー:東福岡40-12尾道>◇準決勝◇5日◇花園

 優勝候補NO・1の東福岡が尾道(広島)を下し、3大会ぶり5度目の優勝に王手をかけた。激しいディフェンスで対抗する尾道に前半を同点で折り返す大苦戦。だが後半、春の選抜大会、7人制を制し「3冠」を目指すタレント軍団が地力の差で突き放した。明日7日の決勝で御所実(奈良)と頂点を争う。

 選抜、7人制に次ぐ「3冠」を狙う東福岡の底力だった。12-12の同点で折り返した後半17分、優勝候補筆頭の強さを象徴するコンタクト力で勝ち越した。

 SO松尾が4人を引きずりながら10メートルゲインしてできたラックから展開。CTB永富の1人飛ばしパスをつなぎ、最後はWTB岩佐が中央へトライ。フランカー古川主将が「リードでみんなの気持ちに余裕が出た」と勢いづいた。後半残り13分での4トライ。メンバーにU-18(18歳以下)日本代表を11人そろえるタレント軍団が地力の差を見せつけた。

 前半、ディフェンスラインを浅くし、速く激しいタックルで応戦する尾道にリズムを狂わされた。警戒するラインアウトからのモールで押し込まれるなど、同10分には7-12と勝ち越しを許した。だが全員に焦りはなかったという。

 同26分、自慢のBK陣が火を噴いた。25メートルの右中間ラックから左へ素早く展開。「裏の空きに転がせばトライにつながると思った」。松尾の冷静なキックをパスでつなぎ、岩佐のトライで同点。前半終了間際、ゴール前で3分に及ぶ尾道のFW攻撃をしのげたことも大きかった。就任3年目の藤田雄一郎監督(42)がハーフタイムに「落ち着いて楽しんでやれ」と声をかけ、選手たちは息を吹き返した。

 御所実との決勝に向け、古川主将は「今日(5日)の苦戦は決勝へ大きい。もう1度気を引き締める。藤田先生を胴上げしたい」と意気込む。3年ぶり5度目の優勝へ、さらに団結力を増した。【菊川光一】