<テニス:ブリスベン国際>◇10日◇ブリスベン◇男子シングルス準決勝

 世界5位の錦織圭(25=日清食品)が15年シングルス開幕戦を、3試合で1度もサービスゲームを落とすことなく準決勝で敗れた。好敵手で同8位のラオニッチ(カナダ)に、7-6、6-7、6-7の2時間33分、3セットともにタイブレークで惜敗した。錦織は今日11日、ツアー初優勝をかけダブルス決勝に登場する。

 イライラを晴らすかのように、敗れた瞬間、錦織はボールを高く打ち上げた。自分のサービスゲームを1度も落とさずに味わう敗戦。相手のサービスゲームも破れず「こんな試合も初めて。何となくイライラがたまった」。最後は、ラオニッチの豪打に、少しだけ気持ちが引いた。

 合計獲得ポイントの差は、ラオニッチの120に対し、錦織は118。わずか2点の差は、タイブレークのちょっとしたミスだった。ラオニッチの攻めに、受け身に回ってしまい「もう少し、攻める気持ちが必要だった」。その小さなスキをつけ込まれた。

 錦織は、ラリーを何本か続けることでリズムをつかむテニスだ。しかし、ラオニッチのプレーは、いつもイチかバチかの強打。この日もラリーが少なく、錦織は「リズムを生めず、自信が持ちにくい」。最速時速231キロのサーブで34本のエースもたたき込まれ、最後は耐えきれなかった。

 勝負強さが、錦織の武器のひとつだった。最終セットの生涯勝率は、歴代最高の8割弱。昨年も21勝3敗と、最も勝ち星を稼いだ。しかし、15年最初のフルセットで敗退。最後にギアを上げられず「今日は、(最後まで)集中力を保つのが難しかった」。

 それでも全豪に向けての光明は、課題だったサーブの進歩だ。2回戦から準決勝までの3試合で、自分のサービスゲームは合計で37回。それをすべてキープした。スピードも、フォールトだったが2回戦で時速200キロを計時。「今日もエースがいつもよりあった。サーブには、より自信を持っていける」。

 ラオニッチとは昨年だけで4回対戦し、次世代を担うライバルだ。同世代に負ける悔しさは人一倍だが「敗戦から学ぶことも多い。全豪に向けて、しっかり調整したい」。錦織の目は、しっかりと全豪をとらえている。【吉松忠弘】

 ◆タイブレーク

 7点先取のタイブレークは、65年にバンアレン(米国)が発案した。それまでテニスは、どのセットも5オール以降は、2ゲーム差がつくまで行われていた。しかし、プロが全盛となり、テレビ放送も始まると、試合の長さがネックとなる。スピードアップが必要となり考案された。6ゲームオール後に行われる。最初のサーブは、そのセットの最初にサーブを打った選手が行い、次からは交互に2本ずつサーブを打つ。全米を除く4大大会、国別対抗戦のデ杯は、最終セットだけはタイブレークがない。