【メルボルン(オーストラリア)14日=吉松忠弘】世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、73年に現行の世界ランキングができて以来、4大大会日本最高シードとなった。19日開幕の4大大会今季初戦、全豪オープンの主催者はシード順を発表。錦織は男子シングルスで第5シードとなり、94年全米、96年全豪のクルム伊達公子が記録した日本最高シードに並んだ。本戦の対戦相手が決まる組み合わせは、明日16日に抽選が行われる。

 これが、世界の実力だ。全豪本戦出場選手128人のうち、世界ランキング通り5番目の評価。優勝を狙える好位置に、錦織も手応えを感じている。「トップ8に入っていれば、上に行ける道もパーセンテージ的に増える」。14年全仏の第9シードを更新し、初のトップ8シードで全豪に挑む。

 理想は上位4シードだった。「4に入っていれば格段に違いますけど」。第4シード内なら、準決勝まで、ビッグ3と呼ばれるジョコビッチ、フェデラー、ナダルと対戦しない。しかし、上位8シードでも準々決勝の前までは、世界ランクが下の選手としか対戦しない組み合わせとなる。

 12年全豪で、自身初の4大大会ベスト8に進んだ。当時のシードは24。4回戦で6位のツォンガを5セットで倒し、準々決勝は4位のマリーを相手に体力が残っていなかった。しかし、今回は準々決勝からが事実上の“本番”。それまでは、下位選手に省エネで勝ち上がることも可能だ。

 もちろん気は抜けない。ノーシードには、09年全米覇者で、元4位のデルポトロ(アルゼンチン)がいる。左手首の手術を受け、昨年は4大会しか出場できず、今週のシドニーの大会で復帰したばかりだ。錦織は過去4戦して全敗。「誰もが初戦で当たりたくない相手」と要警戒だ。

 世界5位になれば、世界中の選手が、打倒錦織で向かってくる。この日も、非公式戦「クーヨンクラシック」の初戦で、世界273位のジョンソン(オーストラリア)にフルセットと競った。「失うモノがないから、(下位選手は)難しい」。

 4大大会の日本男子では、32年全仏で佐藤次郎(故人)が第4シードになったことがある。しかし、68年にプロに門戸を開き、コンピューターで毎週、世界ランキングが発表される現在では、その重みも異なる。大会が期待するシードの評価に応えることで、初めて世界の頂点が見えてくる。

 ◆4大大会のシード

 強豪同士が、早いラウンドで対戦しないように、組み合わせを振り分けるための順位。73年にコンピューター世界ランキングができて以来、基本的に全豪と全米は大会前週の世界ランキング順に決められる。しかし、全仏とウィンブルドンは、クレー(土)と芝という特殊なコートのため、独自の査定を加味し、シードを決めている。4大大会では、01年からシードは16人から32人に倍増。73年以前は、大会が独自にシードを決めており、地元選手と、それ以外の外国選手のシードを分けていた時期もある。