20日にがん性胸膜炎で死去した全日本柔道連盟強化委員長の斉藤仁氏(享年54)の通夜が22日、大阪市内の仏光殿で営まれた。柔道関係者ら約600人が参列。会場には金メダルを首からかけたパネルが掲げられ、座右の銘「剛毅木訥(ごうきぼくとつ)」の字がしるされた。棺(ひつぎ)には五輪旗もかけられたという。

 教え子である国士舘大の鈴木桂治監督は全日本のコーチも務める。「鬼のような人でした。日本の柔道は世界一です、という報告をしたい」と涙を浮かべた。20日から大阪に滞在し、柔道をしている長男の一郎さん(16)次男の立(たつる)さん(12)と「奥襟をとられたらどうする?」と技術の話もした。「僕が斉藤先生に言われてきたことを言った。斉藤先生が歩んだ道を2人の息子さんに教えていきたい。どう成長するか、見守りたい」。

 全柔連の山下泰裕副会長(57)は、遺体と対面し「仁ちゃんは20年東京五輪のことをかなり張り切っていた。仁ちゃんの魂、志を受け継いで、天国からほほ笑んでくれるように頑張るから見ていてくれ」と語りかけたという。

 84年ロサンゼルス、88年ソウル五輪95キロ超級連覇の斉藤氏は「死んでも葬儀は小さくていい」と、妻の三恵子さん(50)に話していた。今日23日の葬儀・告別式は密葬で、後日お別れの会が行われる予定。