<テニス:全豪オープン>◇24日◇メルボルン◇男子シングルス3回戦

 世界5位で、4大大会初優勝を目指す錦織圭(25=日清食品)が、4年連続の16強入りを決めた。同38位のスティーブ・ジョンソン(25=米国)を6-7、6-1、6-2、6-3と逆転で下した。大会1週目が試運転だとすれば、2週目からは8強以上をかけた真のバトルが始まる。12年大会以来2度目の8強入りをかけ、4回戦では同10位のダビド・フェレール(32=スペイン)と対戦する。

 ジョンソンのバックのパスが浮いた。ネットに走り込んでいた錦織は、アウトになるのを見届けると、羽ばたくように両手を広げ勝利を全身で味わった。「少し緊張もあって、タフな試合だった。でも切り抜けてうれしい」。この勝利で見事に1週目を乗り切った。

 弱みをなかなか口にはしないが、心の底で世界5位の重みを感じている。第1セットは「少しびびっていたかもしれない。守りに入った」。1、2回戦とスタイルは違うが、3回戦もパワーヒッター。第1セット3-1リードから消極的になり、最後は力任せのタイブレークで逆転された。

 この日も「まだ、今の世界ランクは居心地が悪い」と苦笑い。それは世界5位が1週目で負けられないという重みを意味する。その気持ちが、空回りにつながった。父清志さんも「今の位置に慣れるのは半年ぐらいかかるだろう」と話す。

 しかし、第2セットで気持ちは吹っ切れた。「もう行くしかない」。ラケットを振り切り、相手の武器のフォアとの打ち合いに果敢に挑んだ。「勇気を持って攻めた」。その攻めが、ジョンソンを崩した。「リターンがだいぶよくなって、気持ちも切り替えられた」。第2セット最初から11ゲームで、1ゲームしか落とさない攻撃で押し切った。

 この勝利で12年から4年連続で16強入りだ。4回戦進出は、4大大会でひとつの区切り。ここから第2週が始まる。今大会男子シングルス出場128人中、4年連続4回戦以上を記録しているのは、錦織以外で7人しかいない。それだけ16強の重みは大きい。

 4回戦で待ち受けるのは、宿敵のひとりフェレールだ。08年全米3回戦で下し、錦織自身初の4大大会16強入りを果たした。全豪では、13年4回戦で2年連続の8強入りを前に敗れた相手でもある。「長いラリーになるのは間違いがない」。

 ここから第2週に入り、ひとつレベルが上がる。「ここまで来ることは最低限の目標」と言い切った。優勝候補にとって、2週目が真の戦いの舞台だ。

 錦織

 悪い中でもいいテニスができた1週目。4大大会は内容より勝つことが大事。(2週目は)守って(球を)入れに行ってるだけでは勝てない相手が来る。もっと思いきりのいいプレーが必要になる。守りに入らず攻めていきたい。

 狙うのは世界の頂点。錦織にとって、新たな舞台が幕を開ける。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定

 25日午前8時55分~、午後4時50分~、WOWOWライブ。第7日男女シングルス4回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。