<テニス:全豪オープン>◇30日◇メルボルン◇車いす女子ダブルス

 車いすテニスの女子ダブルスで、単複世界1位の上地結衣(20=エイベックス)がホワイリー(英国)とのペアで、3時間21分の激戦を制し、2連覇を飾った。4-6、6-4、7-5の逆転でオランダ組を下した。今日31日に4大大会で残された全豪シングルスのタイトルに挑む。

 息詰まる熱戦だった。車いすの部での3時間21分は、国際テニス連盟によると「過去で最も長い試合のひとつ」。上地は疲労で腰を痛めながらも、最後は相手のミスで劇的勝利。「さっすがに疲れた。こんなに長いのないですよ」。最高の笑顔でペアと抱き合った。

 相手のパワフルなショットを、上地組が粘りと球の変化でかわす展開が続いた。第1シードと第2シードががっぷり組み合い、ラリーが続いた。上地組は第1セットを落とし、第2セットも追う展開で奪った。最終セットの4-5。相手のサーブでマッチポイントを握られた。「ドキドキした。ただ、慌てはしなかった」。長いラリーの末に相手がミス。3ゲームを連取して2連覇を飾った。

 実は、2週前のシドニー大会決勝で、フルセットの末に敗れていた。ペアのホワイリーが完璧なプレーにこだわり、ミスが出た。この日は「どんな形でもポイントを取っていこう」と、コンビを修正。相手の球に食らいついた。

 上地にとって全豪は、最初に出場した4大大会だ。12年の大会では、単複とも初戦負け。しかし昨年、複で優勝し、初の4大大会タイトルを獲得した。その勢いで、昨年はダブルスで年間4大大会全制覇の快挙を達成。「全豪は、思い出深い大会」という。

 4大大会で残るのは、全豪のシングルスのタイトルだけだ。「明日も勝てるといいけど、今日は疲れました」。3時間21分の死闘を、初の全豪シングルスのタイトルに結びつける。【吉松忠弘】

 ◆上地結衣(かみじ・ゆい)1994年(平6)4月24日、兵庫県明石市生まれ。先天性の潜在性二分脊椎症で、幼少時は装具をつけて歩けたが、成長とともに歩行困難になった。小5から車いすテニスを始め、08年全日本選抜選手権に初優勝し、現在まで6連覇中。同年史上最年少の14歳で日本ランク1位となる。12年ロンドン・パラリンピックでは単複ともに8位入賞。14年全豪のダブルスで、4大大会初優勝を遂げた。

 ◆車いすテニス

 2バウンドまで返球できる点を除き、ルールは一般のテニスとほぼ同じ。ラケット、コートの広さ、ボールも同じなので、健常者と障害者が一緒にプレーできる。車いすは体の一部として考えられ、一般の体に適用される規則が当てはまる。ボールが車いすに触れると失点となる。種目は男女単複、四肢まひなど重度の障害があるクアード男女などに分かれる。車いすには明確な規格はなく、軽量かつ剛性のある左右の車輪がハの字に広がった専用のものを使う。

 ◆WOWOW放送予定

 31日午後5時15分~、WOWOWライブ。第13日女子シングルス決勝ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。