ラグビートップリーグはあす2月1日、プレーオフ決勝が行われる。連覇を目指すパナソニックの田中史朗(30)と初優勝を狙うヤマハ発動機の矢富勇毅(29)は、中学生の頃から戦ってきた同学年のライバルだ。充実のシーズンを送った田中と、苦境を乗り越えた矢富。対照的な2人が、SHとして大一番でぶつかる。試合は東京・秩父宮ラグビー場で、午後2時キックオフで行われる。

 田中は練習後、試合当日にファンサービスでスタンドに投げるボールに「みんなありがとう」と書き込んだ。「おっちゃんじゃなくて子どもがとってくれたら…」とおどけた。第1ステージから準決勝までの15試合中13試合に先発出場し、連覇に王手をかけた。「勝つことが大事。目の前の判断をしっかりしたい」と勝利へのこだわりを見せた。

 濃いシーズンを過ごした。南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」のハイランダーズで試合にも出場した。チームメートには世界ランク1位のニュージーランド代表SHアーロン・スミスがいる。互角にポジション争いをし「判断力では負けない」と自信をつけた。昨年10月には世界選抜「バーバリアンズ」にも選出。「速さも強さもキック精度も、もっと上げないと」と新たな課題を見つけた。

 だからこそ負けられない思いがある。11日の第2ステージ最終戦で18-26と敗れたこともあり、1度は「挑戦者の立場」と話した。その後出た言葉は「負ければスーパーラグビーもコネだと言われる。しっかり勝ちたい」。柔和な笑顔の裏に、意地が垣間見えた。

 矢富とは同じ京都市出身で、練習試合などで何度も対戦した。「横のスペースを攻めてくるのでしっかり抑えたい」と矢富のプレーは分かっている。今季もハイランダーズでプレーするため、2月の日本選手権は出られない可能性が高い。国内で今季最後となるかもしれない一戦で、同学年対決を制する。【岡崎悠利】