勝利で有終の美を飾れるか。ラグビートップリーグはきょう1日、東京・秩父宮ラグビー場でプレーオフ決勝が行われる。パナソニックCTB霜村誠一(33)は、今季限りで引退する。10年度には主将としてチームをリーグ初優勝に導いた霜村は、引退後教員の道に進む。リーグ戦では初戦を除くすべての試合でスタメン出場するベテランが、区切りの一戦でもフル回転する。

 決戦前日、パナソニックの選手たちは群馬県内の練習場で約1時間、攻撃の連係確認などを行った。時折リラックスした表情も見せた霜村は練習後「試合を迎える気持ちはいつもと変わらない」とあくまで勝利にこだわる姿勢を見せた。

 集大成の今季、チーム内の意思疎通はさらに浸透した。在籍11年目の霜村は、1年目のSH内田とも分けへだてなく話せる間柄だと話す。「試合中も、こうしてほしいという仲間の気持ちがわかる。補い合えるという信頼があるから、1人1人が高いレベルで役割をこなせる」と、高まった一体感に自信を見せた。

 今年4月からは県内の私立校、桐生第一高で保健体育を教え、ラグビー部の監督も務める。内田やNO8ホラニが部活での指導を手伝い、SH田中はユニホームやスパイクを生徒にプレゼントし、チームメートのサポートを受ける。専用の練習場がなく旗を掲揚するポールをゴール代わりにする環境で「1年目からもちろん花園を狙いたい」と、支えに応えるため気合を入れる。

 決勝には高校の部員や地元ラグビースクールの子どもたちが応援にかけつける。復興支援のため昨年11月に訪れた宮城県気仙沼市立小原木小の6年生からは、応援メッセージも届いた。「最後だからじゃなく1人の選手として、勝ちたいという気持ちを持ってプレーしたい」。「霜村先生」になる前に、勇姿をサポーターの目に焼きつける。【岡崎悠利】

 ◆霜村誠一(しもむら・せいいち)1981年(昭56)9月20日生まれ。群馬県桐生市出身。ポジションはCTB。4歳でラグビーを始める。東農大二高を経て関東学院大に進み、1年、2年、4年と大学選手権で3度優勝。04年に三洋電機(現パナソニック)に入団し09~12年度シーズンで主将。家族は妻と息子1人、娘2人。176センチ、87キロ。血液型はO。趣味はギター。日本代表キャップ数は6。