<ラグビー・トップリーグプレーオフ:パナソニック30-12ヤマハ発動機>◇決勝◇1日◇東京・秩父宮ラグビー場

 パナソニックがヤマハ発動機を下し、リーグ連覇を果たした。試合中に主力選手のケガが相次ぐ中、首に故障を抱えるフッカー堀江翔太主将(29)が中心となって後半は無失点に抑えた。優勝は前身の三洋電機時代を含め通算3度目。MVPには、WTB山田章仁(29)が選ばれた。なお日本選手権は8日に始まり、パナソニックとヤマハ発動機は22日の準決勝から登場する。

 サポーターから響くノーサイドへのカウントダウンが「ゼロ」を告げ、審判の笛とともに抱き合い喜んだ。フッカー堀江主将は「どのチームも倒そうとやってきた。重圧があった分、うれしい」と喜んだ。野武士軍団は傷だらけだった。

 司令塔のSOバーンズは腰痛で後半15分で交代。その後もロックのヒーナン、FB笹倉が接触で負傷し、ベンチに下がった。嫌な流れの中、チームを支えたのは堀江だった。昨年11月に痛めた首の状態が1月25日の準決勝で悪化。度重なる接触で骨が変形し、神経を圧迫した。左手の人さし指、薬指、小指が動かず、開けない。握力は14キロまで落ちた。カップを思うようにつかめず、洗顔もできない状態でも「投げ出すという選択肢は自分にはなかった」と言う。

 テーピングで指を無理やり引っ張って手を開かせ、強行出場すると、確かな戦術眼を生かした。11点リードで迎えた後半は敵陣でボールを保持し続け、相手の攻撃機会を減らす。そして後半36分、WTB北川のだめ押しトライにつなげた。プロップ稲垣は「一番体を張っている。頼った部分も大きい」と主将に感謝した。

 その堀江は試合後、9月のW杯(イングランド)出場のために南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」への今季参戦を断念すると明かした。首の状態が悪く、W杯までの完治を優先させた。1週間以内に手術を受け、日本選手権も出場しない。復帰については「4月には動きだしたい」と話し、「4年前の悔しさは忘れられないので」とリベンジの思いを口にした。【岡崎悠利】