<バレーボール:W杯女子大会・日本3-0ブラジル>◇8日目◇13日◇札幌・北海きたえーる

 「崖っぷち」の世界ランク4位日本が女王を破った。同1位ブラジルから歴史的勝利を挙げて5勝目。第1セットのピンチをセッター竹下佳江(33=JT)のブロックから逆転すると、エース木村沙織(25=東レ)が20点を奪ってストレート勝ちした。3位以上でのロンドン五輪出場権獲得へ望みをつなぎ、16日からの東京ラウンド3連戦(代々木第1体育館)へ臨む。

 大きな1勝だ。日本が最強国に最高のバレーを見せた。ブラジルの強打を懸命に拾い、粘りでミスを誘う。最後は木村のアタックがコートに落ちると、優勝したかのように全員で抱き合った。「よく集中して戦ってくれた。最高です。一致団結ですね」と真鍋監督。ユニホームの左胸に縫いつけてある「こころはひとつ」の言葉どおり、一体となって女王を破った。

 159センチの竹下がデッカイ仕事をした。第1セット23-24。相手のセットポイントで、188センチステインブレシェルのスパイクに精いっぱい体を伸ばした。「すごかったですね」と、はね返したボールはエンドラインぎりぎりに落ちて同点。そこから「テンさん(竹下)がジュースまで持ち込んでくれた。取られていたら違う展開になっていたかも」という木村の連続得点で、競り合いを制した。

 本調子ではないとはいえ、記録の残る93年以降5勝63敗だったブラジルに勝った。五輪、世界選手権を含む3大大会では初。第2S16-16では荒木(東レ)が顔面でブロックするなど、まさに捨て身となって“金星”を奪った。「この勝利を無駄にしたくない」と木村。東京決戦へ、「火の鳥ニッポン」が不死鳥のようによみがえってきた。【近間康隆】