<バレーボール・全日本高校選手権:札幌山の手2-0安来>◇女子1回戦◇5日◇東京体育館

 3年ぶり出場の札幌山の手(北海道)が安来(島根)をストレートで下し、1月開催になった11年(10年度)以降では初の初戦突破を果たした。エースで4月からVリーグチャレンジリーグJT入りが内定しているエース橘井友香(3年)が1人で11ポイントをたたき出すなど奮闘し、勝利に貢献した。

 最後はエースの高さで締めくくった。第2セット。23-18と5点リードした札幌山の手の24、25点目は、橘井が2本連続でスパイクをたたき込み勝利を決めた。「少し初戦の硬さが出てしまった。みんなに申し訳ない。最後は自分で笑わなきゃと意識してプレーしました」。会場の雰囲気に少しのまれたが地力で修正し、1月開催後の初勝利に導いた。

 全日本ジュニア候補が、苦しみながら一皮むけた。第1セット序盤は緊張からか、ミスを連発。10-15と5点ビハインドになり、さらに橘井のスパイクがアウトになると、渡辺徹監督(50)が動いた。「普段の力の半分も出せていない」。絶対的なエースを1度、ベンチに下げ「落ち着いてやれ。いつも通りやれ」とゲキを飛ばした。

 “ショック療法”が効いた。必死に追い上げる仲間の姿に「とにかく思いっきってやらないと」と吹っ切れた。24-24のジュースになった瞬間、渡辺監督が「最後はエースに責任を取ってもらわないとね」と再投入。橘井のスパイクで一気に第1セットをもぎ取ると、第2セットはスイッチの入ったエースが爆発した。

 今春、VリーグチャレンジリーグのJT入りが決まっている。竹下佳江、大友愛ら、12年ロンドン五輪銅メダリストを輩出した名門だ。昨年の入れ替え戦で敗れ、チャレンジリーグに降格したが「自分が入ってプレミアリーグに上げたい。その前に、高校最後のこの大会で4強に入らないと」と前を向く。

 今日6日の2回戦は総体でストレート負けした京都橘と対戦する。「気合を入れてリベンジしないと」。初戦で心も、体もほぐれた。次はパワー全開で難敵を撃破し、目標の4強へと突き進む。【永野高輔】