<バレーボール・全日本高校選手権:金蘭会3-0大阪国際滝井>◇女子決勝◇11日◇東京体育館

 女子は金蘭会(大阪)が大阪国際滝井との大阪対決を制して初優勝し、全国高校総体、国体との3冠を達成した。20年東京五輪のエース候補、1年生の宮部藍梨(あいり)が、両チーム最多の24得点を挙げた。

 最後もエース宮部が決めた。24-20で迎えた第3セット、身長182センチのバネある体をしならせ、相手ブロックの上から強烈なスパイクを突き刺した。初優勝に加え、高校3冠。両手の拳を突き上げながら、まだあどけなさの残る、つぶらな瞳を輝かせて喜んだ。

 序盤は緊張からミスもあったが、両チーム最多の24得点。バックアタックも7本決め、勝利の立役者となった。「先輩方と3冠をとれてうれしい。楽しく悔いなくプレーできました。バックアタックはよくなったけれど、レシーブがダメ」。有頂天にならず、課題も口にした。セッター堀込主将は「頼もしかった。普段は天然だけど、コートに入ると顔つきが変わる」と絶賛した。

 昨年6月に東京五輪メダル獲得に向けた特別強化選手を集めた日本バレーボール協会の「チーム・コア」に選出。10月のアジアユース選手権ではMVPに。「日の丸でプレーする前に行動もしっかりしないと」と自覚が芽生えた。あいさつをされても無言で会釈することが多かったが、「『お』から『す』までしっかり言わないとダメ」。おはようございます、お疲れさまです、など私生活から徹底している。

 ナイジェリア人の父を持ち、身体能力は世代NO・1。高校9冠と、大学進学の文武両道が目標。その先に五輪のヒロインになる大目標がある。【鎌田直秀】

 ◆宮部藍梨(みやべ・あいり)1998年(平10)7月29日、兵庫・尼崎市生まれ。小3に金楽寺クラブで始め、金蘭会中3年で全中準優勝。JOC杯都道府県選抜では大阪北選抜の一員として優勝。好きな食べ物はオムライス。182センチ、64キロ。最高到達点は日本代表のエース木村沙織(東レ)を超える3メートル6センチ。家族はナイジェリア出身の父と日本人の母、妹。