ラグビーと切っても切れない関係にあるのが「ビール」だ。ラグビーファンの飲酒量は、サッカーファンの6倍以上というデータもある。ワールドカップ(W杯)大会組織委員会もスタジアム内外で品切れを警戒。開幕に向け、さまざまな対策を進めている。

試合前、ビール売り場の前で元気にポーズを決める売り子(撮影・垰建太)
試合前、ビール売り場の前で元気にポーズを決める売り子(撮影・垰建太)

パブ文化が根付く英国発祥のスポーツとあり、ラグビーファンにとって「ビール片手に観戦」は当たり前。キックオフの数時間前から飲み始め、試合が終わると、相手チームのファンとも笑顔で酒を酌み交わす。

W杯の歴史を振り返っても、03年オーストラリア大会では、アデレード市内にアイルランドとオーストラリアのファンが集結。ビールが品切れ状態となり、周辺の地域に“緊急支援”を要請した。07年フランス大会では、試合がある週末の2日間に備え、1カ月分にあたる量のビールを発注したパブもあったという。

大会組織委員会によると、15年イングランド大会では、同じ会場で行われたサッカーの試合に比べ、ビールの消費量は平均で6倍以上。スタジアムとファンゾーンだけで190万リットルが飲み尽くされた。日本大会に向け、組織委は12の開催都市に、品切れに注意するよう呼びかけ、飲食店や宿泊関係者などにはラグビーファンの“実情”を伝える説明会も続けてきた。

だが、開幕が迫る中、課題も見えてきた。組織委がW杯に向けた運営面のテストと位置づけた7月27日の日本-フィジー戦。釜石鵜住居復興スタジアムは、日本の勝利に沸き立つ一方、気温が30度を超える暑さもあり、ハーフタイムには会場内の一部店舗でビールが品切れとなったのだ。「スタジアムに飲食物が持ち込めないのに、売り切れはひどい」「ぬるいビールを渡された」など、ファンの悲痛な声が飛び交った。

この件について、組織委は「スタジアム全体での量を増やす必要があるのか、会場内の割り振りに問題があったのかなど、今回出た課題を早急に検討していきたい」としている。アジア初開催のW杯開幕まで44日。ホスト国として、世界のラグビーファンを満足させる「おもてなし」が求められる。【奥山将志】