<高校ラグビー:御所工・御所実3-0京都成章>◇5日◇準決勝◇花園

 御所工・御所実(奈良)が緊迫の「ロースコア勝負」を制し、悲願の初優勝に王手をかけた。ともに初の決勝進出をかけた京都成章(京都)との戦いは、激しいアタック&タックルの応酬になったが、前半28分にCTB岡本圭二主将(3年)が決めたPGの3点を守り切り、3-0で死闘を制した。常翔啓光学園(大阪第1)は22-15で前回優勝校の東福岡(福岡)を撃破。7日の決勝はAシード校同士による戦後6度目の“近畿対決”となった。

 死力を尽くした御所工・御所実フィフティーンの両腕が、一斉に突き上がった。後半ロスタイム2分すぎ、CTB中川拓がボールをタッチに蹴り込んだ。その瞬間に響いたノーサイドの笛に、喜びが爆発した。

 震える声で、竹田監督がつぶやく。「最後までうちのカラーを出し続けてくれた。最後までディフェンスをやり通してくれました」。3-0。初の決勝切符は“世紀のロースコア勝負”を制してつかみ取った。

 京都成章には練習試合を10度以上もこなし、手の内を知り尽くされていた。「攻撃は完ぺきに読まれていた」と同監督。攻め込んでも、相手の防御に押し戻された。だが「知り尽くしていた」のは自分たちも同じ。自陣に攻め込まれたときは、しっかりと押し返した。最後の一線だけは決して抜かせなかった。

 低空タックルを何度も突き刺したNO8中川嘉は「絶対止めるという気持ちだけだった」と胸を張る。普段から両ひざをつき、土のグラウンドにはいつくばるような姿勢でタックル練習を繰り返す。3年も続けると、ひざの皮も硬くなり血が出ることもない。平均身長は170・7センチで出場51校中、下から4番目。体が小さいからこそ、こだわってきた低く激しいタックルが接戦で生きた。

 創部62年目。4月から御所実に校名変更されるため「御所工」の名が残る最後の年に、初の日本一に王手をかけた。決勝の相手は春の全国選抜決勝で21-36で敗れた常翔啓光学園。この日、貴重なPGを決めたCTB岡本圭主将は「リベンジを目指したい」。9月の招待試合では19-13で勝っている。苦手意識はない。あと60分、魂を込めて戦うだけだ。【木村有三】