<高校ラグビー:東福岡42-7関西学院>◇準決勝◇5日◇花園

 関西学院(兵庫)が2連覇を狙う東福岡(福岡第1)に7-42と完敗した。後半27分にフランカー鈴木将大主将(3年)が1トライを決めたものの、初のシード校として臨んだ花園で“厚い壁”にはね返された。

 このままでは終われない。35点を追う後半27分、関西学院が攻める。右中間ゴール前5メートルで反則を得て、FWで仕掛けた。ロック徳永が突っ込み、最後はフランカー鈴木主将がラック左サイドをついた。

 「みんなで前に前に運んできた。『飛び込むしかない』と思った」。意地と希望のトライを、連覇を狙う東福岡に突き刺した。

 つらい60分間だった。タックルで倒してもターンオーバーできず、逆に何度もターンオーバーされた。FWのチームがラックで何度も入り負けた。「あんなにブレークダウンで圧倒されたのは初めてです」と鈴木主将は振り返った。

 不運もあった。0-7の前半20分に高校日本代表候補のフッカー浅井が、シンビンで一時(10分)退場。7人制日本代表の“怪物”CTB布巻に「危険なタックル」を見舞ったと判断された。FWの核を欠いた時間に3トライを奪われた。言い訳ができない完敗だった。ただし胸は張れる。安藤監督は声を震わせ、男泣きした。

 「主将を中心に本当にいいチームで…。彼らの泣く姿はつらかったです」。

 4回目の花園で初めてシード(B)をもらい、過去最高の4強に進んだ。鈴木主将は兵庫・高砂市の自宅から、毎朝5時起きで西宮市内の学校まで通った。帰宅は午前0時近くになる日もあった。「人格者。彼しかいない」(安藤監督)というキャプテンシーに率いられ、全国4強にまではい上がった。

 ノーサイド時の場内時間表示は36分8秒。ロスタイム表示3分を超えてボールをつなぎ続ける執念が、点差を越えた緊張感を生み、最後まで場内を沸かせた。

 「強い東福岡とできた。ウチにとっては大きなプラスです」と安藤監督。王者の力は肌で知った。あとはそこまで、歩むだけだ。【加藤裕一】