<高校ラグビー:桐蔭学園43-0大阪桐蔭>◇準決勝◇5日◇花園

 Aシードの桐蔭学園(神奈川)は同シードの大阪桐蔭(大阪第2)に完封勝ちした。大阪桐蔭は春夏2大会制覇を逃した。

 初優勝を目指した大阪桐蔭が準決勝で完敗した。攻守ともに圧倒され、初戦で左膝を痛め欠場していたSO喜連(きれ)航主将が後半8分から出場したが流れは変わらず。ノーサイドの瞬間、選手はグラウンドに崩れ落ちた。

 綾部監督は「想像以上にボールキープされた。DFを強化してきたが全くできなかった」と敗因を分析。ブレークダウンで競り負けターンオーバーされる場面も多発した。今大会7トライと活躍したNO8吉田は「崩されてしまった。自分たちのペースを出せないまま負けた」と唇をかんだ。

 初戦以降「喜連を決勝に出場させる」が合言葉になった。グラウンド内外で柱となる存在が欠け、綾部監督は「今のチームは7割くらい。後の3割は『喜連のため』という気持ち」。主将の離脱という緊急事態ながら準決勝まで勝ち進んだ。予定より早い復帰となった喜連航は「みんなに支えられてもう1度花園に立てた」と晴れやかだった。

 昨春の選抜王者ながら、8度目の花園で8強以上は初体験だった。「我々にとって大きな経験。新しい1ページを作ってくれた」と綾部監督。主将の“代役”を務めた2年生SO中山は「最初は緊張ばかりだったが花園の雰囲気を味わえた。次のチームにつなげたい」。冬の頂点への夢は、後輩たちに託された。【鈴木絢子】