北北海道で全国準優勝4度の伝統校、北見北斗が富良野を57-7で下し、9年ぶりの花園に王手をかけた。昨年4月に就任したOB小野泰章監督(46)のもと、新たなトレーニングを続々と導入。今冬は大空町の相撲クラブの指導を仰ぎ、四股などで下半身を鍛え上げ、2年ぶりの決勝進出につなげた。明日24日の決勝で旭川龍谷と対戦する。

“ぶつかり稽古”で育んだ肉体を北見北斗フィフティーンは遺憾なく発揮した。序盤から積極的に敵陣に攻め上がり、前半だけで5トライを奪った。後半26分には、この日、本職のSHからポジション変更したWTB黒川昌哉(2年)が敵陣22メートルライン付近のラックからパスを受け、相手を振り払ってトライ。「全国を目指してやってきたことができた」と力強かった。

就任2年目の小野監督は「(プレースタイルは)見ていて面白くないかもしれないが1つ1つ丁寧にできた」と振り返る。89年花園出場のOB監督は、09年以来遠ざかっている聖地に向け選手の体を鍛え上げた。「ナチュラルな筋肉をつけるため」(小野監督)に4月に1週間の食トレ合宿、7月に約20メートルの巨大丸太を使ったランニングを導入。FW陣の平均体重85キロは対戦した富良野76キロと比較しても大きく、当たり負けしない肉体改造が実を結んだ。

さらに冬場に取り組んだ相撲が下半身強化につながった。大空町の相撲クラブの指導者から四股や取組の稽古を受けた。週1日ペースで土俵の上で稽古を積み、多い日には1日1000回近く四股を踏んだ。寄り切りと押し出しのみだが、まわしを締めて部内で相撲大会も実施。この日3トライを奪った黒川は「(稽古後には)立てなくなった」ほどだが「下半身が強くなった。止めにくる相手にも崩れなかった」と効果を実感した。

過去37度花園出場の伝統校が、明日24日の決勝で旭川龍谷と対戦する。「旭川龍谷は得点力のあるチームで強い。今日のようなディフェンスだとダメだが、タックルしかない」と小野監督。部内相撲で一番強い「横綱」のNO8太田浩平主将(3年)も「低いタックルをどれだけできるかが鍵。できるだけ前で相手を止めていきたい」と話す。相撲で鍛え上げた肉体を駆使し、9年ぶりの花園切符へ挑む。【浅水友輝】