伏見工と洛陽工の学校統合で生まれた京都工学院が、OB平尾誠二さんの命日に3年ぶり花園出場への第1歩を踏み出した。

22トライの猛攻で初戦を突破し、ベスト8進出。ゲームキャプテンを務めたフッカー林将太郎(3年)は「平尾さんは伏工の名前を上げてくれた方。工学院に変わったけれど、平尾誠二さんがいた学校という血がつながっている。全国で1番を目指したい」と16年10月20日に亡くなった大先輩を思い浮かべた。

「京工魂!」「京工ダイナマイト!」。控え部員がメガホンを持ち、さけぶ応援のフレーズが「伏工」から「京工(きょうこう)」へと変わった。この春に伏見工(全日制)の最終学年が卒業。京都工学院の3学年がそろって迎える、初めての秋だ。

今季のテーマは「継承と創造」。伏見工時代とラグビー部の運営は大きく変わらない。この日はセカンドの緑だったが、赤と黒のファーストジャージーのデザインは同じ。胸に記される黒字の校名が「京都工学院」となるだけで、「信は力なり」の横断幕もいつも通りグラウンド脇に掲げられた。歴史を「継承」し、京都工学院のスタイルを「創造」する1年。林が「僕たち1期生は勉強に苦しみました」と苦笑いして明かすように、新しい学校での変化も随所に見られる。

力のある2年が頭角を現しているが、初戦は3年主体の先発メンバー。FWが縦へと力強く突進し、BKも空いたスペースへと的確にボールを運んだ。一方で隙を突かれて2トライを奪われ、林は「大差がついてからの集中力が課題。3年は応援に回るメンバーも多いけれど、『全員で全国に行く』とまとまっている」と気を引き締め直した。

80年度に3年だった平尾さんを中心としたメンバーで、史上初の全国制覇。その道のりはテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」で描かれ、多くのファンに愛された。伏見工時代の花園制覇は4度。今季のチームは、京都工学院として初めての聖地を目指す。

春季大会決勝では京都成章に7-24。ライバルとの対戦は、両校が順当に勝ち進めば11月11日の決勝(宝が池)で実現する。SO菅原海人(3年)は「甘えを見せずに、1つ1つのプレーをきっちりやって勝ち上がりたい」。勝負の秋が始まった。