19年ラグビーW杯日本大会の会場の1つで8月に改修工事を終えた埼玉県営熊谷ラグビー場(同県熊谷市)で20日、こけら落としの記念試合パナソニック対キヤノン戦が行われた。日本代表最年少キャップ記録(18歳7カ月)を持つWTB藤田慶和(25=パナソニック)は、近隣の子どもとその保護者計36人を招待し、夢を貫く大切さを伝えた。

新設のスタンドで「ワイルドナイツスポーツアカデミー」の子どもらが見守る中、藤田が魅了した。前半を17-6で折り返した後半2分。パスを受けた右隅から力強いステップで相手を交わし、中央に豪快なトライを決めた。「めちゃくちゃ気持ち良かった。一番は子どもたちに元気や勇気、夢を持つ大切さを結果で示すことが出来て良かった。少しでも何かを感じてもらえたらうれしい」。25-6で勝利した試合後、汗をぬぐってこう振り返った。

今春からパナソニックが運営する同アカデミーのプログラムに自主的に週1回参加している。子どもの人間育成を目的とし、一緒に運動を楽しむことで活力を与えている。「これまでは自分のためにプレーしていたけど、ある人から『人のためにプレーしないと大成しない』と言われて気づいた。大好きな子どもたちのためにプロ選手として何か出来ないかと考え、サポートしたいと思った」。

この日、初めて公式戦を招待することが実現し、将来は観客席に「藤田シート」の設置を夢見る。「アカデミーの子どもたちだけでなく、全国の病院や施設などの子どもたちも招待して試合を見てもらいたい」。

今季は出場機会に恵まれず、11月にニュージーランドなどのテストマッチを控える日本代表には選出されなかった。「落ちたのは悔しいけど、これが今の実力。今日のトライ含め、状態は上がっている。1つ1つアピールすることが次のステップにつながると思っている。子どもたちに日本代表として姿も見せたい」。プロ選手として一皮むけた25歳がさらなる成長を誓った。