ラグビーの日本選手権を18大会ぶりに、トップリーグ(TL)を15季ぶりに制した神戸製鋼のSOダン・カーター(36)とフランカー前川鐘平(30)SHアンドリュー・エリス(34)の両主将、デーブ・ディロンヘッドコーチ(HC、43)らが17日、神戸市役所を表敬訪問し、神戸市スポーツ特別賞を受けた。TLのMVPにも選ばれた世界的SOカーターは「アメージングでした」と笑顔でシーズンを振り返った。

神戸市の久元喜造市長(64)がラグビーW杯前年の快挙を「市民に大きな喜び、誇り、元気をいただいた」とたたえた。95年の阪神淡路大震災で神戸製鋼の高炉が一時停止、その後復興した話を引き合いに出すと、ディロンHCは「私たちのチームは神戸市、会社の歴史を勉強してきました。今回の優勝で我々はチームの高炉にもう1度、火をつけられた」と話した。

今年7月に合流したカーターは「実はチームに来る前から、みんなが“今季は絶対に優勝したい”と思っていると聞いていた。優勝したいと思っているチームで、神戸市というすばらしい町のために頑張れて、本当にうれしい」と笑顔を見せた。

また福本正幸チームディレクター(51)が、15日の決勝戦前の裏話を披露。「選手からウチの社員の作業衣を着た後でプレーしたいという話になった。試合前の国歌斉唱はみんな、ジャージーの上に作業衣を着て、その上からダウンジャケットをはおって参加した。その時“本当にすごいチームになった”と思い、勝利を確信しました」と明かした。

一方、この日は柔道の世界選手権女子52キロ級金メダルの阿部詩(18)も同スポーツ特別賞受賞のため同所へ。神戸製鋼メンバーが到着する場面に居合わせて、即興で歓迎の横断幕を持って出迎えた。阿部は「すごいカッコいい!」と興奮気味で、カーターに「昨日、ニュースで見ました。“生ける伝説”です」と熱視線を送った。まだラグビーを生観戦したことはない。それでも「本当に成長できた1年の締めくくりに、すごい選手を見られた。私は来年は世界選手権2連覇だけを考えて、東京五輪で金メダルを取れるように頑張ります」と話していた。