惜しくも初優勝は逃したが、天理大の躍進が、関西の出場枠増につながった。

関西勢として84年度の同志社大以来、34大会ぶりの日本一はならなかったが、天理大が2日の準決勝で帝京大を破った時点で、来年度の全国大学選手権への関西リーグからの出場校は「3」から「4」に増加した。

準決勝後に天理大の小松監督に連絡をした関西協会の坂田好弘会長(76)は「一言目が『関西の枠が増えましたよ』やった。うれしかったですし、関西が強くなるために、本当に大きいこと」と声を弾ませた。

一方で、天理大の小松監督は、将来有望な関西の高校生が関東に流れる現状について「うちが1回、2回勝って(優勝して)も変わらない。9連覇でもすれば変わるでしょうが」と冷静に分析している。

1月7日の全国高校ラグビーは、大阪桐蔭が初優勝。平成の30大会で大阪勢が半数の15回の優勝を誇るが、大学は34年も関西勢は優勝から遠ざかっている現実がある。ブランド力は依然「東高西低」で、強化は各大学の選手育成に委ねられる部分が大きい。

今回、天理大が切り開いた1歩目に続くために、関西の各大学が本気になれるか。

今大会は関西王者の天理大と、2位立命大、3位京産大の3校が出場。立命大は明大に、京産大は慶大に敗れ、ともに初戦で姿を消している。

学業との両立は大前提に、全寮制、指導体制の整備など、大学を巻き込む地道な強化なくして、関西全体の繁栄はない。