明大が22-17で天理大に勝利し、96年度以来22大会ぶり13度目の復活優勝を果たした。ともに3トライずつを奪い合う激闘も、粘り強い防御でペースを握り、接戦を制した。チームの礎を築いた故北島忠治監督の指導の下、多くの名選手を輩出した伝統校も、同氏が亡くなった96年度大会以降は、低迷。就任1年目の田中清澄監督(43)が再建を担い、平成最後の大会で、王座返り咲きに成功した。

  ◇   ◇   ◇

決勝への準備の差、準決勝からの10日間で、明大はしっかり天理大を研究し、対策を立てていた。前半22分のWTB高橋のトライはラインアウト後にできる相手守備の穴を狙ったサインプレー。ラインアウトも天理大のやり方を分かっていたから圧倒できた。

昨年決勝を経験したことも大きい。準決勝のような単純なミスもなく、チームとして決勝の雰囲気に慣れていた。浮足だって見えた天理大とは対照的だった。守備でも前に出ていたのは明大の方で、天理大は準決勝の帝京大戦のような前への勢いがなかった。

明大は昨年の決勝で帝京大に敗れ、1年間ずっとこの日を目指してきたはず。1月12日に勝つために、逆算して準備を積んできた。田中監督は、そういうチームマネジメントが巧みだった。帝京大が9連覇できたのも、岩出監督のマネジメント力のおかげだった。

帝京大の連覇が止まり、大学ラグビーは新しい時代に突入する。もっと指導者が注目されていいし、各大学のチーム作りに焦点があてられてもいい。「伝統校復活」だけでなく、なぜ明大が勝てたのかに着目することが、今後のラグビー界発展につながる。(日刊スポーツ評論家)