ラグビー元日本代表プロップで11、15年ワールドカップ(W杯)に出場した畠山健介(33)が19日、ラグビー界の「変革」を訴えた。

都内で行われた19年W杯日本大会の機運醸成を図る「丸の内15丁目プロジェクト」(三菱地所主催)のイベントに参加。日本ラグビー選手会代表理事の畠山は、自身のキャリアを振り返りながら現役選手や来場者ら約80人ともに、ラグビー界の未来などについて熱く議論した。昨季でトップリーグ(TL)の強豪サントリーを退団した33歳は、冒頭のあいさつで「人生の3分の1をTLでプレーした。ラグビーをしていない自分を思うと本当に怖くなるし、ラグビーに助けられ、感謝している」と競技への愛情を伝えた。

TLに11年間在籍して、最も印象に残る思い出として「15年W杯後の開幕戦」を挙げた。W杯ではエディージャパンの主力として、南アフリカ代表を破るなど快進撃を続け、国内外でラグビー熱が高まった。「日本ラグビーが強くなって、これでラグビー界が『変わる』と思ったけど…。代表が勝つ=競技普及や文化定着でないことを学んだ。W杯後の開幕戦(の会場)を見て、何のためにいろいろなものを犠牲にして一生懸命やってきたのか。(自身に対しての)怒りさえ覚えた」と感極まって目頭を押さえた。続けて、「世界で感動を与えるスポーツが日本ではやらないはずがない。みなさんと一緒に日本ラグビーの可能性を広げたい」と変革を呼び掛けた。

畠山は大型ビジョンを用いて「プロとしての未来」をテーマに語った。ラグビー人気復活のために、スポーツビジネスの観点から「強化」「普及」「資金」の3つを重要とした。大企業に支えられているTL選手は、雇用形態が社員とプロに分かれている。そのメリットとデメリットについて独自の見解を示し、「プロはその分野で生計を立てること。結果を出すのは当然で、プロフェッショナルマインドを持って、ラグビーで飯を食う覚悟があるかが大事」と強調した。サントリーを退団してから3カ月が経過した。現役続行を希望し、海外チームの移籍も視野に入れながら、自主トレーニングの日々が続く。プロ選手として、自身を題材に「今は競技での収入はゼロだが、その他のW杯関連のイベントや解説などでなんとかやっている」と後輩らの笑いを誘い、プロとしての厳しさも伝えた。

W杯開幕まで4カ月-。世界を知る男は、ラグビー精神に懸けてこう熱く呼び掛けた。「自国開催1回目で大会の成功以上に、国内外から訪れる多くのファンに『また日本でW杯を開催してほしい』と思ってもらうことが大事だと思う。令和元年にW杯開催も何かのご縁。100年後の未来から見たら、今年が『ラグビー元年』と言ってもらえるようにしたい。日本ラグビー界の未来のために、選手はもちろん、ファンや企業、自治体の皆さんが一体となってそれぞれの役割を全うしてほしい」。33歳の勇猛果敢な挑戦は続く。