<ラグビー・全国大学選手権:早大21-5関東学院大>◇20日◇1回戦◇熊谷

 早大が宿敵関東学院大に21-5で快勝し、連覇に向けて最高のスタートを切った。右ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂の重傷から復帰した今季初先発のFB田辺秀樹(3年=常翔啓光学園)が、1トライ、1ゴール、2PG、1DGと1人で16得点の大活躍でチームを引っ張った。大麻事件を乗り越え大学選手権に進んだ関東学院大は、1トライに抑えられ、シーズンを終えた。

 名門早大にニューリーダー誕生の予感だ。田辺が大仕事をやってのけた。前半13分に右中間35メートルの先制PGを決めると、40分にゴール正面27メートルの位置から左足を振り抜いて、意表をつくDG成功。「攻める手段がなく、点数も停滞していたのでチームを落ち着かせるために狙った」。後半24分には、左WTB中浜のパスを受け、一直線にインゴールに飛び込んだ。

 対抗戦で8年ぶりに2敗を喫し、いつにない危機感を持って臨んだ1回戦。田辺は目に涙をためてピッチに立った。ウオーミングアップの時、4年生の顔を見たら「絶対、負けられない」と思ったという。「先輩たちと1日でも長く試合をやりたい」。175センチ、83キロの体を動かしたのはこの一念だった。中竹監督は「キック、ゲームコントロール、勝負どころでのトライ…。期待通りです。さらに成長してほしい」と絶賛した。

 4月の練習中に大ケガに見舞われ、5月に手術。年内復帰は難しいといわれたが、めげるどころか、逆に闘争心を燃やし、リハビリに励んだ。「チームには同じケガに苦しむ選手がいる。彼らに勇気を与えるためにも逃げ出せなかった」。明大に敗れてからの2週間。練習では大声を張り上げ、主将の豊田に「オレが責任を取るから好きにしていいよ」とゲキを飛ばし、「今日勝ったのは主将が好き勝手にやったからと思う」と言ってのけた。

 豊田は何か吹っ切れかのように突進を繰り返した。「関東学院大はやはり一番強かった。他のチームに勝たないといけないと実感した」と豊田は振り返る。田辺は一時は失意まみれだったチームを元気づけた。28日の準々決勝は筑波大と対戦する。「今日と明日は喜んでもいい。でも明後日からは気持ちの切り替えが大事。浮ついたやつはチームから出す」。強烈なまでのリーダーシップは連覇に欠かせない。【三角和男】