<ラグビー・関東大学リーグ:早大20-20慶大>◇23日◇対抗戦◇東京・秩父宮ラグビー場

 7年ぶりの早慶全勝決戦は両者譲らず引き分け、優勝の行方は最終週(12月5、6日)に持ち越された。13-13で折り返した後半、7点差を追う早大は36分に日本代表SO山中亮平(3年)の執念のトライ(ゴール成功)で追いついた。今季で86回目を迎えた早慶戦で全勝対決が引き分けたのは80年度以来、29年ぶり。満員札止め2万3430人の観客は80分間の激闘に惜しみない拍手を送った。両校の対戦成績は早大の61勝19敗6分け。

 白熱の攻防に終わりを告げるノーサイドの笛。両校選手には決着をつけられなかった悔しさが漂っていた。2度のリードを追いつかれた慶大・林監督は「やり尽くして引き分けたというより、攻めきれなかった」。早大・中竹監督は脳振とうで、前半23分で交代した攻守の要となるFB田辺を例に出し「逆境で底力を見るいい機会だった。うちの力はまだまだということ」と振り返った。

 慶大は前半、相手キックのカウンターからボールをつないでWTB三木が2トライ。今季は基本プレーの習熟度に裏打ちされた個人の判断力を重視している。「臨機応変を要求されている」と言う三木に、林監督は「トライの形は満足」と評価した。早大も後半20分すぎから敵陣奥深く入り、モール攻撃を軸に攻め続けた。36分、途中出場の日本代表SO山中が豪快な突破で同点につながるトライを奪った。山中は「これが僕に求められているもの」と成長の跡を見せた。

 慶大はトライ数(3対2)で上回り12月5日の帝京大戦に勝てば、9年ぶりの優勝が決まる。早大戦連敗は大学選手権も含めて12で止まったが、フランカー松本主将は「最後の5分間を守り切れなかった。勝てる試合を落としたという気持ちと、早大は簡単に勝たせてくれないという気持ちが交錯している」と言った。自力優勝がなくなった早大も同じ思いだ。WTB早田主将は「良かったのは負けなかったことだけ」。

 対抗戦優勝とは別に、ライバルとの決着の舞台は大学選手権に移る。慶大が99年度に大学日本一になった時、ヘッドコーチだった林監督は創部110周年のメモリアルVを託されて就任3年目。就任時「熱いチームをつくりたい」と話した。「情熱を持って仲間と助け合い、挑戦し続けると必然的に熱いチームになる」。その慶大を中竹監督は「バランスの取れたスキのない理想のチームに仕上がっている」と一目を置いた。

 秩父宮が満員札止めになったのは07年2月のトップリーグ・プレーオフ決勝(東芝対サントリー)以来。ラグビー人気低迷が取りざたされる中、伝統のカードはしっかり生きていた。【三角和男】