<ラグビー・日本選手権:三洋電機22-17トヨタ自動車>◇2月28日◇決勝◇東京・秩父宮ラグビー場

 三洋電機が逆転でトヨタ自動車を下し、大会史上4チーム目となる3連覇を達成した。前半は0-12と劣勢も、後半は途中出場のフッカー堀江翔太(24)のトライで追撃、WTB北川智規(26)の逆転トライなどで勝ちきった。本社がパナソニックの傘下に入るなど苦しむ中、選手層の厚さと、今季リーグ戦無敗の底力を見せ、創部50周年の節目のシーズンを偉業で締めくくった。

 鮮やかな逆転劇だった。3-12で迎えた後半22分、ゴール前のFW戦から堀江が自慢の突破力で、相手のタックルをものともせずにトライを決めた。ゴール成功で2点差に詰め寄り、同26分にはSOブラウンが相手からボールを奪うと、カウンター攻撃。最後は北川がタッチライン際を快走して逆転トライだ。相手がシンビン(一時的退場)で1人少ない時間帯に、勝負をひっくり返した。

 飯島監督の采配も当たった。「うちのリザーブには才能のあるインパクトプレーヤーがそろっている」が自慢。15人ではなく控えを含めた22人の総合力で戦い、事前に「リードされたら早めにインパクトを」と話していた。この日はそれが前半31分に投入された堀江。本人は殊勲の場面を「アドバンテージをとってもらえていたので、思い切り行った」と振り返る。準決勝でも、やはり途中出場のSH高安がダメ押しトライで、期待に応えていた。

 トヨタが本社のリコール問題をバネに一丸となってきても、屈しなかった。「うちだって、はるかに長い冬を過ごしてきた」と飯島監督。昨年、三洋電機はパナソニックの傘下に入った。決戦を前にWTB三宅は「三洋電機の単体として認めてもらえるように。そのためにも勝ちたい」と言い、かつて前主将の榎本は「強くあり続けることで、今のラグビー部の体制を継続できると聞いている」と話した。企業スポーツの存続が厳しい中、勝つことが自分たちを守ることに通じていく。

 だからこそ、飯島監督の「部をつくってくれた先輩方、たすきをつないでくれた先輩方に感謝したい」の言葉に重みがあった。創部50周年のシーズンに3連覇達成。「1年目の初優勝は殻を破ったうれしさ。2年目はホッとした。今年は興奮する勝ち方」。常勝チームになりながらも、ハングリー精神を失わないのが、三洋の魅力だ。【岡田美奈】