<2006年1月16日付日刊スポーツ紙面から><柔道:嘉納杯国際>◇15日◇東京・日本武道館

 北京五輪を目指して、穴井隆将(21=天理大)が100キロ級を制した。決勝で19歳のライバル、石井慧(さとし、国士大)と対戦した穴井は、内またで有効を奪って快勝。同級世界王者の鈴木桂治(平成管財)を倒しての07年世界選手権、08年北京五輪での金メダル獲得まで宣言した。

 開始2分すぎ、激しい組み手争いを制した穴井が内またで有効を奪った。その後も受け身にならずに攻め続けて優勝。「うれしいですね。どうしても石井にだけは勝ちたかったですからね」と、優勝以上にライバルを倒したことを喜んだ。

 一昨年11月の講道館杯で当時高校生だった石井に敗れた。2学年下の石井とは高校生の時の対戦まで合わせれば2勝1敗。しかし、雑誌や大会のパンフレットでは「石井に次ぐ存在」とされた。周囲の評価を覆して存在を見せつけるための勝利が欲しかった。

 「目標は北京五輪の金メダル」と言い切る。同階級には鈴木桂治という世界王者が君臨する。「まだ意識してもらえないけれど、勝って来年の世界選手権、再来年の五輪に行きたい」と言った。「精神面の弱さを克服するため」に、あえて大きな目標を口にする。「すべてが五輪につながる。この大会も予選だと思っていました」。その目はしっかり北京に向いていた。