<柔道:世界選手権>◇13日◇女子無差別級◇東京・代々木第1体育館

 初日の9日に78キロ超級を制した杉本美香(26=コマツ)が無差別級も優勝し、2冠女王となった。決勝は78キロ超級でも金メダルを争った秦茜(22=中国)との再戦。有効による優勢勝ちした。同一大会での2階級制覇は日本女子初で、世界でも史上3人目の快挙だ。

 杉本がまたやった。女子の今大会金メダル1号となった78キロ超級に続き、女子最後の無差別級も制覇。日本代表女子初の快挙を成し遂げた途端、心身の疲れがどっと押し寄せてきた。

 杉本

 ほっとしたけど、何より疲れた。体が動かず、内容もよくなかった。2冠とれて、自分でもできるんだと思えた。

 準決勝で01年大会覇者ルブラン(フランス)を破り、決勝は4日前と同じ顔合わせ。初日の優勝で精神的な重圧がかかった。動きは硬かったが、一本背負いで有効を奪って何とか優勢勝ち。「体が痛かったりもした。とにかくがむしゃらにやった」と振り返った。

 かわいいめいっ子に癒やされた。今年4月17日に、姉照美さん(28)に第1子となる長女陽奈(ひな)ちゃんが誕生。以来、杉本は写真や動画を携帯電話にしゅっちゅう送ってもらい、力に変えてきた。78キロ超級Vの翌10日には、家族と一緒に宿舎に訪れためいっ子に会って、疲れた体にパワーを取り戻していた。

 長らく日本女子重量級を支えてきた五輪2大会連続メダリストの塚田真希(28)の代表引退がこのほど明らかになったばかり。杉本いわく「“デブ”のD」から命名した「チームD」の同メンバーで、仲のいい間柄だけに「自分が頑張らないと」と気合が入った。

 世界ランク22位の無名の26歳が、塚田と入れ替わるように重量級の中心に飛び出してきた。来年4月の全日本女子選手権には塚田が10連覇をかけ出場予定。引退試合となる可能性が高い。杉本は「先輩には気持ちよく終えてほしい。自分が勝ち上がって決勝でやりたい」。真の女王交代を迎えるつもりだ。【大池和幸】