<大相撲九州場所>◇千秋楽◇27日◇福岡国際センター

 関脇稀勢の里(25=鳴戸)は勝って大関を決めたかった。大関琴奨菊に最初の立ち合いで突っかけ、仕切り直しでは防戦一方で土俵際で必死の突き落としも、大関の渡し込みに軍配が上がった。支度部屋では「負けッスから、今日は何もないッスよ」と、背中を向けて沈黙した。

 昇進の目安3場所通算33勝に星1つ届かなかったが、昇進問題を預かる審判部は関脇で3場所連続2桁勝ち星の安定感を高く評価。大関昇進を諮る理事会開催の要請を満場一致で決め、放駒理事長も承認し、事実上、大関昇進が決まった。

 落ち着きを取り戻したテレビのインタビューで「ここまで育ててくれた先代師匠にいい報告ができると思う」と、場所前に急死した元横綱隆の里の先代師匠に感謝していた。