日本相撲協会は3日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、八百長問題をめぐって解雇無効の判決が出た元幕内蒼国来(29)について、控訴しないことを満場一致で決めた。荒汐親方の降格処分も取り消した。理事会後に北の湖理事長(元横綱)が本人、荒汐親方と話し合い、名古屋場所(7月7日初日)から、解雇通告時と同じ西前頭15枚目で復帰することが決まった。

 危機管理委員会の委員長を務める宗像紀夫外部理事(元東京地検特捜部長)は会見で「控訴しても勝てる見込みがない」と説明。その上で八百長問題を担当した特別調査委員会について「もともと非常に証拠が薄い。こんな薄い証拠で処分していいのかというぐらいの内容だった」と、ずさんさを厳しく指摘した。

 敗訴を受けて、今後は弁護士6人から成る危機管理委員会の調査部会で、八百長問題の調査が適正だったかどうか検証する。北の湖理事長は「今後、2度とこのような不幸なことが起こらないよう、原因究明にあたる」とコメントした。