大相撲の幕内優勝力士に贈呈される優勝額で、1951年春場所から62年間、肖像画を描いてきた彩色家の佐藤寿々江さん(85)が高齢のため引退することになった。優勝額を贈呈する毎日新聞社が22日、発表した。初場所の優勝力士の優勝額から、従来の色合いに似せてデジタル処理したカラー写真に変わる。

 縦3メートル17センチ、横2メートル26センチ、重さ約80キロの優勝額はこれまで、白黒写真を3枚貼り合わせた上から約1週間(2枚)かけて、佐藤さんが油絵の具で色をつけていた。記念すべき最初の1枚は横綱照国で、手がけた枚数は62年間で約350枚にも上るという。

 しかし、体調を崩したこともあって昨年は夏、名古屋場所を除き、別の人が色を塗っていたという。佐藤さんの意向で後継者に引き継ぐことなく、耐久性が増す最新の写真技術に変わることになった。

 佐藤さんは毎日新聞社を通じて「優勝額の仕事は、私にとって人生そのものでした。寿命の限り仕事をやりたいのですが、体力に自信がなくなったので、引退を決意しました。これからは、新しい時代のものを作ってほしいと思います」とコメントした。