大相撲九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)での新十両昇進を果たした出羽疾風(でわはやて、25=出羽海)は1日、東京・墨田区の部屋で会見し「全然実感が湧いていないですが、うれしい。ホッとしました」と喜んだ。

 04年春場所で初土俵を踏んでから、ちょうど10年。「長かったです。やめようかなという時期もあった」という。支えになったのは、母久美子さん(55)の存在だった。「つらかったら、いつでも帰っておいで」と言う声に、かえって耐える気力が湧き出た。秋場所の千秋楽翌日、地元の愛知県岡崎市に戻ると、入門した年の夏に亡くなった父瑞穂さんの墓参りをし「やっと上がれたよ」と報告した。

 2010年名古屋場所から関取が途絶えていた名門出羽海部屋に、4年ぶりに復活する。その意気を問われると「ちゃんと頑張りたいです」と苦笑いしつつ、目はキリッとしていた。