<大相撲九州場所>◇千秋楽◇23日◇福岡国際センター

 完敗だった。横綱初優勝を手にするには、本割と決定戦で2連勝するしかない。だが、最初の千秋楽結びの一番で雌雄は決した。横綱白鵬(29=宮城野)の鋭い攻めに防戦一方となり、横綱鶴竜(29=井筒)はまた、悲願に届かなかった。

 目の前で32度目の優勝も許して「もうちょっといい相撲を取りたかった。(自分は)これで横綱って言えるのかな」とうなだれるしかなかった。

 10日目まで、無傷の10連勝でトップを走った。引き技も少なく、今場所の鶴竜は違った。だが、11日目で大関稀勢の里(28=田子ノ浦)に完敗すると、一気に迷いが生じた。

 翌12日目の大関豪栄道(28=境川)戦で見せた立ち合いの変化は、満員の観客から多くのやじを浴びた。その翌日には風邪で体調も崩す。きまじめな横綱が陥った負の流れは、止められなかった。「結局また、自分で崩れていってしまうところが課題。すべて自分次第だった」と肩を落とした。

 今年は春場所で初優勝し、横綱にも昇進した。だが、昇進後の4場所で、いまだ賜杯は抱けていない。「確かに成長しているところもあるけど、まだ足りないところがあるのが、優勝できないところです」。大きな課題を残して、年を越す。