元横綱大鵬の納谷幸喜氏(67)が6日、2時間かけて横綱白鵬(23=宮城野)に「相撲道」を説いた。東京・江東区の大嶽部屋で二所ノ関一門連合げいこが行われ、訪れた白鵬とけいこ後に自室で1対1で話し込んだ。これまでも横綱の心得など助言してきたが、2時間も会談するのは初めてだった。

 納谷氏はもどかしさを隠せなかった。白鵬の申し合い30番(28勝)のうち21番は十両が相手で、押し込ませ、不利な体勢から逆転するけいこ。「調整のようだったな。本当は大関や三役とやればいいが、幕内力士も少ないし、仕方ないか」。厳しい言葉は避けたが、「昔の横綱は、もっとけいこをしていた」と物足りなさも口にした。

 その後、じっくりと話し合った。最近の白鵬はテレビ出演などイベント参加が多いことを憂慮し、本人に聞いた。「(テレビ出演は)力士の運動能力の高さをアピールしたいという考えと聞いた」(納谷氏)。イベント参加で角界以外の人と接し、多くのことを学び取りたいという白鵬の気持ちも知った。その上で、「人に聞くこともいいが、相撲は本人の努力次第。それを忘れてはいけない」と最後にくぎを刺した。

 一喝する方法もあった。だが、この日も自分を父のように慕う白鵬の素直さの前に、優しく諭すにとどまった。「結果の責任を取るのは自分しかない」と、横綱の責任を説いた。会談後の白鵬は表情を引き締め、一言も発せずに車に乗り込んだ。納谷氏の静かな「喝」に夏場所(11日初日、両国国技館)3連覇が自分の使命と悟った顔だった。【来田岳彦】