相撲部屋が大麻吸引の現場になっていた疑いが強まった。ロシア出身の西前頭筆頭若ノ鵬寿則容疑者(20=間垣、本名ガグロエフ・ソスラン・アレキサンドラビッチ)が逮捕された事件で、警視庁組織犯罪対策5課は19日、東京・墨田区の間垣部屋にある同容疑者の個室からも大麻の吸引器具と大麻成分を含んだ疑いのあるロシア製たばこ押収した。日本相撲協会は21日に臨時理事会を招集。北の湖理事長は同容疑者を解雇する方針を固めており、師匠の間垣親方(元横綱2代目若乃花)の理事降格、同部屋の存続問題についても話し合う。現役力士の解雇は史上初になる。

 同課によると、墨田区の若ノ鵬容疑者の自宅マンションと間垣部屋を家宅捜索し、部屋の個室でテーブルに置かれたパイプ状の吸引器具を発見した。ロシア製たばこ「ベラモール」1本も見つかった。これは6月24日に同容疑者が路上で落とした財布から発見された大麻成分入りたばこと同じ銘柄。同課は部屋の個室で発見されたたばこにも大麻成分が含まれているかどうか調べている。

 自宅マンションからは吸引器具の水パイプ2個が見つかった。鏡台引き出しには、大麻が付いた袋が隠されていた。同課は若ノ鵬容疑者が自宅や部屋で大麻を吸っていた疑いがあるとみて調べる。同容疑者は調べに「大麻や大麻を吸ったパイプなどは、六本木のディスコで黒人やロシア人にもらった」と供述。大麻使用も認めたという。

 同課はこの日から間垣親方にも参考人として事情を聴き始めた。青森県に滞在していた同親方はこの日午前、羽田空港から警視庁本庁に直行。調べに「若ノ鵬が大麻を吸っていたことは気付かなかった」と話したという。午後2時30分には日本相撲協会を訪れ、北の湖理事長に「大変、ご迷惑をかけました」と謝罪。処分については「理事長と理事会に一任します」と険しい表情で話した。

 事態を重く見た協会側は21日に臨時理事会を開き、同容疑者の処分を決めると発表した。北の湖理事長は「社会通念上、許されないものがある。厳しい処分になるのは当然。(解雇は)やむ得ないだろう。理事会で決議する」などと話し、史上初めて現役力士を解雇する方針を固めた。間垣親方については「理事を簡単に降格させるのは難しいが、何らかの処分を検討したい」と話した。一方である有力親方は「間垣親方は5月にも暴行問題を起こしており、理事降格は避けられない。部屋の存続問題についても議題になるだろう」との厳しい見解を示した。

 間垣部屋は間垣親方が昨年3月に病に倒れて以降、親方はリハビリで部屋を留守にすることが多くなった。部屋付きの浜風親方(元前頭五城楼)が同年11月に佐渡ケ嶽部屋へ移籍したこともあり、事実上の指導者不在が続いてきた。協会側はこの状況が事件発生の要因になったと見ており、理事会では他の部屋との吸収合併を促す意見が出るとみられる。間垣部屋が消滅する可能性は高い。