日本相撲協会は21日の臨時理事会で、大麻所持容疑で警視庁に逮捕された西前頭筆頭若ノ鵬寿則容疑者(20=間垣)の解雇処分を決めた。同時に師匠の間垣親方(元横綱2代目若乃花)の協会理事辞任の申し出を受理した。現役力士の解雇も理事の辞任も史上初。間垣親方は2階級降格の委員になった。

 昨春、病に倒れた間垣親方に対し、今後の部屋の運営を憂慮する声も上がった。だが、他の部屋との吸収合併を促すまでには至らなかったといい、同親方も会見で「リハビリで部屋を留守がちだったことは反省している。早く病気を治して弟子の生活面も見ていきたい」と部屋の存続を訴えた。若ノ鵬容疑者については「処分は当然。ただ(若ノ鵬は)普段はまじめだった。(部屋の個室とは別に)マンションを持っていたことも知らなかった」など、師匠としての能力に疑問符がつく発言もあった。

 それでも理事会は同親方の辞任で幕引きに動いた。昨年10月、新弟子死亡事件で先代時津風親方が解雇された際は、理事会メンバー全員が減俸になったが、今回の処分は若ノ鵬容疑者の解雇だけ。北の湖理事長は「事件は協会全体の問題」と言いながら、自身の進退問題には触れなかった。

 理事会後、同理事長らは監督官庁の文部科学省を訪れ、鈴木恒夫大臣に処分などを説明。同大臣は、協会側が9月末を目標にした外部役員の登用を急ぐように求めた。だが、同理事長は「規則を変えるのが先。まだ人選にも入ってない」と話す。02年の理事長就任以降、前代未聞の不祥事が相次ぐが、具体的な再発防止策も示されなかった。