ロシア出身力士2人の大麻疑惑が浮上したことで、北の湖理事長(55=元横綱)の責任問題は避けられなくなった。疑惑力士の1人、東十両6枚目白露山(26)は北の湖部屋の所属。同理事長は最近の一連の角界不祥事で折に触れ、協会ではなく「師匠の責任」という主張を展開し、協会トップにとどまってきた。だが自ら管理する部屋が家宅捜索を受けたこともあり、言い逃れはできない状況となった。
露鵬、白露山の2人から陽性反応が出ても、角界トップは、静かに国技館を後にした。記者クラブで伊勢ノ海理事らの会見が始まった2分後。午後8時5分、理事長室から出てきた北の湖理事長は、東京都江東区の部屋へ戻っていった。「検査でちょっと出たので。疑いがあるというのなら、よく調べてもらえばいい」。連行されたのか、と問われると「まあまあ。よく調べてもらえばいい」と続けた。会見には顔を出さず、表情を変えずに迎えの車に乗り込んだ。
近年の角界では不祥事が続発。昨年、時津風部屋序ノ口力士死亡事件で当時の師匠を解雇した際こそ理事会メンバー全員が減俸処分となったが「協会の責任でなく、師匠の責任」と進退に触れることはなかった。だが、今回は事情が違う。該当の白露山は自らの弟子。「師匠の責任」と言い続けてきた言葉が、自らに降りかかってくる。
8月に元若ノ鵬のガグロエフ容疑者が大麻所持容疑で逮捕され、間垣親方(55=元横綱2代目若乃花)は理事を辞任。2階級降格の委員となった。弟子が同じ容疑で逮捕されれば「前例」と照らし合わせても「ヒラ」に戻るのが筋になる。2月に再選され、理事長4期目。過去、任期中に辞任した理事長はいないが、理事にも残れないことになる。
大麻取締法は使用について罰則を設けていないため、陽性反応が出たことで、直ちに刑事責任を問われることはない。しかし、再検査でも“クロ”となれば、親方としての管理責任を問われることは間違いない。また部屋が家宅捜索されたことも、汚点となる。
力士会冒頭に「最近は世間を騒がせている。気を使った行動を取るように」と注意を促した直後の連行劇。「相撲界の潔白」を証明しようと行った検査が、自らの首を絞める結果になるかも知れない。かつての大横綱が、今までにない土俵際まで追い込まれた。

