<大相撲九州場所>◇初日◇9日◇福岡国際センター
いきなり波乱が起きた。3場所連続優勝を狙う横綱白鵬(23=宮城野)が、小結安美錦(30)に下手投げで敗れた。これで、横綱朝青龍(28)が初日から休場した場所の初日は、昨年秋、九州場所に続き3連敗。「1人横綱」の重圧があったのか、またしても黒星スタートとなった。大関とりの関脇安馬(24)は、5度目の立ち合いの末に東前頭3枚目琴奨菊(24)を下し、白星発進した。
2度あることは、3度あった。白鵬が、またもや「1人横綱」で迎えた初日に負けた。座布団が飛ばない花道では苦笑いし、風呂上がりには「フー」。大きく息を吐き、我に返った。「硬くなったのかなあ」。横綱昇進後の黒星スタートは、朝青龍が出場停止だった昨年秋、九州場所に続き3度目になる。
勝負を焦った。左の張り手から右差しを狙ったが、安美錦にうまく防がれた。安易にはたいたところを飛び込まれ、もろ差しを許す。強引な左の小手投げに出たが相手の右外掛けで体勢を崩し、最後は顔面から土俵に落ちた。「投げの打ち合いになって、勝ったと思ったけどね。(顔は)大丈夫です」。擦りむいた右ほおを真っ赤にしながら、首をひねった。
「朝青龍の休場で重圧があったか」の問い掛けに「いやあ…」と、しばし沈黙した。「それより太刀持ちですね。太刀持ちに負けられないってね」と続け、敗因に「朝青龍」が絡むことを避けた。取組前の支度部屋では立ち合いを繰り返し、大粒の汗を流した。ぶつかり相手を務めた幕下春日国が「いつも以上に激しかったです」と舌を巻く力の入れようだった。だが、土俵上で見せたのは甘い踏み込みからの張り差し。「ちょっと何か変な感じ…でした」。春場所、注文相撲で敗れた安美錦への迷い、そして重圧。平常心を失い、今年10個目の黒星を招いてしまった。
努めて明るく振る舞い、引き揚げる際は「吹っ切れていければね」と前を向いた。「1人横綱」で黒星発進した過去2度は、いずれも優勝している。負けて頼れる「V確率100%」。こちらも「3度ある」にするしかない。【近間康隆】

